午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女
次の日、私は準備室には行かなかった。
約束を破ってしまうのは嫌だった。
だけど…どうしても、いつも通りに振る舞える気がしなかったから。
「心の距離、どんどん離れてる気がする…」
昨日が10メートルだったなら、今日は2倍離れてしまったようで。
自分が行かなかったのが悪いのに、なんで距離が離れちゃうのって思う自分が嫌で。
私は制服のままベッドに寝転び、枕に顔を埋めた。
コンコン
「茜ー?」
「…」
ごめん、お母さん。
返事をする気力すらないや。
「茜ー、聞いてるの?もー、入るわよー!」
ガチャ
「…」
「おいバカ、スカートにシワできるぞ」
「…そんなのどうでもいい……って、陸!?」
さっきの声は確かにお母さんの声だったのに…!
部屋の入口で仁王立ちする男は、確かに陸だ。
「…うわ、髪の毛もボッサボサ。掃除用具入れの中のモップみてぇ。」
なんて言いながらも私の髪をさらにわしゃわしゃとかき回す陸。
「マニアックな例えはやめてよ!!」
私はリクの手を振り払い、ガバッと起き上がった。