午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女

「ユウくん…！」



頭の片隅にあった私の嫌な予感はどうやら的中してしまったらしい。



ちょうど体育館から出てきた有馬先輩と、先輩に会いたくて体育館に向かっていた元カノ、瑠衣さん。


こんなタイミングで…私の目の前で再会するなんて…あんまりだよ。



「ユウくん…やっと会えた」



お互いが、お互いのことを忘れられなかったんだ。



だったら、私は…



「ごめんなさい、私、用事があるので…」



私は身体の向きを反転させ、逃げるように走った。



「茜！」



後ろから有馬先輩の声がしたけど、私には振り返る余裕すらなかった。



涙は出ない。けど…心は泣いていた。