午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女
「陽…!」



瑠衣さんの声を無視し、少し考えるような顔をした陽先輩。


すると、次の瞬間ギュッと私の腕を掴んだ。



「…今更現れたと思ったら、俺の可愛い後輩泣かせて…趣味悪いな、瑠衣」

「陽先輩、ちがっ…!」



否定しようとしたけど、先輩の左手に口元を覆われて声が出せなかった。



「陽、あたし…」

「2年経ってようやく雄飛が他の子に目を向けたと思ったのに…タイミング最悪だな」



陽先輩はテーブルをバンっと叩き、つかんでいた私の腕をグイッと引っ張った。



「帰ろう、茜っち」



そのまま腕を引かれて店を出て、王通りでタクシーに乗らされる。

涙が止まらなくて視界がぼやける私にはなにも見えなかった。

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