午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女
「…ひとりで抱え込んでんじゃねえよ」

「どうして…」

「お前が1人で混乱してうるさいから」

「はい…?」



先輩は自分の親指で私の目元の涙を拭った。


その顔はほのかに赤くなっている気がした。



「俺がお前のこと好きじゃないだの何だの、勝手に決めつけんな」

「だ、だって…!」



この状況で素っ気ない先輩に、今まで抑えていた涙がどっと溢れてくる。


「…泣くなよ、めんどくさい」

「で、でも…!」

「 “ だって ” と “ でも ” は禁止。泣き止まないなら話さない」



そう言われ、私はゴシゴシと目をこすった。



「泣きません…!」



だって、続きが聞きたいもん。



「…ふっ、一瞬で止まんよかよお前の涙は。」



安心したように笑い、有馬先輩はクローゼットから何かを取り出した。

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