嫌われ者の怪物と空っぽの少女
3:もう一度
真夜中。真ん丸の月が木の影から覗いていた
「……あの女の子…この森にいるんだろうか。」
オースはあの少女のことがきになって仕方がなかった。
きっと嫌われているだろうに。心が何故か彼女を探していた。
この森にいるなら、叶うならば、もう一度、もう一度だけ、あの綺麗な女の子をみてたい。と。
そうこう考えながら歩いていると、数十メートル先に緑に覆われた煉瓦の家が見えた
「久々だな…」
地上に落とされた時には、この家に住み着いていた。
オースはその頃を懐かしむように見つめた。
ふらすらと、その家に引き寄せられるように、その家に近寄った。
「…………え」
その家の細長い窓にたどり着いた時、目の前に見えたのは、あの少女だった。
少女は、冷たそうなコンクリートの床でぐっすり眠っていた。
「……なんだ、寝てるのか。」
「……」
しばらく、その窓の淵に頬杖をついて、綺麗で繊細で、でもどこか暗いその顔を、少女の一生の一瞬のひと時を、見つめ過ごした。
そして、
すとん、と、深い、深い、眠りについてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どれほど寝たのだろうか、ふと視界が暗くなり、なにかが動いた音で目が覚めた。
ただ、目は開けずそのまま、もう一度眠りにつこうとした
「……?」
少し怖いほどの静けさの中、すーすーとなにかの息遣いが、耳に聞こえた
「……誰かいる、?」
目を開け体を起こし、窓に目を向ける。
マユは自分の目を疑った。
「……かみ…さま…」
あぁ、自分は夢を見ているのかな、そう、これは夢の中なんだ。そうマユは確信した。
冷たい床を歩き、窓にゆっくり歩み寄る。
「……かみさま…」
夢にしてはリアルで、とても怖くて、でも魅力的で。
「……あなた…は…名前は…何?……どこから…来たの…?」
とても魅力的で。
「……とても綺麗ね…」
マユは、神様の可愛い寝顔に、思わずふふ、と微笑んだ。
その瞬間、ふっ、と猛烈な睡魔に襲われ、床に倒れ込んだ。
……そのままマユは、再び、本当の夢の世界へと誘われた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー