君を忘れるその日まで。
離島
「ふぅ……着いた〜!」
車のエンジンを切ると、母さんは腰を労りながらドアを開けた。
「母さん。車の移動だけで疲れるなんて、おばさんみたいだよ」
「うるさいわねっ!さっさと荷物整理して、晩ご飯までには片付けちゃうわよ!」
「はいはい」
張り切る母さんとは対照的にやる気のない声で返事をしてから、俺も車を降りる。
「ここが、今日から俺が住む場所か……」
開けた視界に入ったのは、石垣の向こうに広がる青い海と、坂沿いに連なる住宅街。
「立派な島……。
ここを出るだけで船に乗って2時間半……うん、長い」
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