君を忘れるその日まで。
「それにしても、君が部活に入ってないっていうことに俺はびっくりしたよ」
作業を進めながら、不意に思ったことを口にすると、彼女は手を止めて顔を上げた。
「いつも後ろの席から見てるけど、結構いい肩してるよね。
ソフトボールでもやってるのかと思ってた」
「……渡利くん。今の発言、少し怖いよ。
いつも後ろから見てるって」
引いたという表現を大げさに披露する彼女に
俺は呆れながら答える。
「訂正するよ。正しくは視界に入る、だから。
目の前の席なんだから、黒板を見る時に嫌でも目に映るよ」
「あはは、わかってるよ。
それで、なんの話だったっけ?」
「君が部活に入ってないっていう話」
「あぁ、それね」