君を忘れるその日まで。
君を忘れるその日まで
「……っ、さむい………」
吐く息が冷たい風に乗って消えていく冬休み。
出かけるのに必要な物を買い揃えた俺は、身支度を整えて家の鍵を閉めた。
「母さんは……電話が来たら伝えればいいか」
リビングのテーブルには、【1日だけ優里に会いに行ってきます】と書かれた書き置きが母さんに読まれるのを待っている。
「行ってきます」
俺はコンパクトにまとめたリュックを背負い直して、船に続く坂道を降りて行った。