君を忘れるその日まで。


「わ……っ、すごい人の数……」


目的の駅に着くと、数時間前までの人のなさが嘘のように沢山の人と大きな音で埋めつくされた。


「俺も前まではここに住んでたはずなんだけどなぁ……」


苦笑いを浮かべて、都会に慣れていない田舎者という様子を醸しながら歩いていく。


「この辺り、いつも優里と歩いてたっけ…」


人通りが少なくなった道を歩いていけば、あの頃の情景が蘇ってきた。


『祐樹、今日の国語の授業寝てたでしょ』


『え、なんで……』


『先生が睨んでたもん。本当に寝てるかわからなくて注意できなかったみたいだけど、私はわかってるんだからね』


『ほんと?じゃあ今度から見つからずに寝るように気をつけるよ』


『そこは寝ないように気をつける、でしょ!』

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