君を忘れるその日まで。
「……っ、優里………」
息を整えながら、激しく上下する肩を落ち着かせる。
「あぁ……くそっ…!」
思考を停止させようとする嫌な予感を振り払うために頭を振ってから、たどり着いた家のチャイムを押した。
「早く出てくれ……っ」
走っている間に、いろいろな疑念が渦巻いた。
親からは俺が記憶喪失になったのは事故のショックが原因じゃないかって言われてたけど……本当は、違うんじゃないか?
俺がどんな事故にあったのか、俺は知らない。
勝手に交通事故か何かだと思ってたけど、よく考えたらそれだけで1年分も記憶を失うものなのか?
三村は、俺だけでも無事でよかったって言ってた……。
俺「だけでも」って……?
「嫌な感じしかしない……」