君を忘れるその日まで。
「……あっ」
ぐるぐると考え込んでいれば、家のドアがゆっくりと開いて、中から優しそうな女性が現れた。
「えっ……祐樹くん!?」
「優里のお母さん……お久しぶりです」
優しい瞳が親子でよく似た彼女の母親は、俺がこっちに住んでいた時に何度か会ったことがあった。
お母さんは俺の顔を見ると、口元に手をやって泣きそうな顔になる。
「もしかして……全部思い出したの?」
「え……」
「優里に会いに来てくれたのね……あの子も喜ぶわ。今は私以外に誰もいないんだけど、ぜひあがっていって」
「……はい。お邪魔します」