君を忘れるその日まで。
「どうしたの?」
顔を上げれば、体育座りをした彼女は微笑みながら首にかかるくらいの短い髪を指にまきつけている。
「……急に笑い出すのは、変人っていう人種の
初期症状じゃないかな」
「ちょっと。人がせっかくいい気持ちになってるのに、雰囲気を壊すような発言しないでよ」
「何かいいことがあったの?」
「……わからない?」
笑顔のまま尋ねられて心当たりを探ってみるけど、引っかかるできごとはこの短時間では残念ながら覚えがない。
首を振ってわからないと伝えると、彼女は体勢を崩してこっちに寄ってきた。