君を忘れるその日まで。
「じゃあ、各自で練習開始ー!」
売り言葉に買い言葉のやり取りを続けていると担任の大きな声が聞こえて、会話は決着がつかないまま終了した。
「そういえば、祐樹くんは体育祭の種目、何に出るんだっけ?」
一気に散らばっていくクラスメートを見ながらどこに行こうか考えていると、佐城さんが突然に尋ねてきた。
「100メートルリレーと、障害物競争と、借り物競争と、騎馬戦と、クラス対抗リレーかな」
「心は体育会系だったの?」
「違うよ。俺はなるべく動かない競技がよかったのに、出ろって男子に押し付けられたんだ」
「祐樹くん、意外に運動神経いいもんね。
体育の時に見ててびっくりした」
「意外は余計。目立つのが嫌だから適当にやろうと思ってたのに、先生に真面目にやらないと成績下げるって言われたんだよ」
「それは最高の脅し文句だね」
「本当にね。おかげであの時はいらない注目を浴びることになったよ」