君を忘れるその日まで。
「佐城さんは、何か出るの?」
半年前に肩を故障したという彼女の発言を思い出して尋ねれば、彼女は親指を立てて満足げな顔を見せる。
「もちろん。肩を上げなければ運動は全然できるし、動くの好きだからね。
私が出るのは、綱引きと、1000メートル走と、クラス対抗リレーの3つ」
「1000メートル走なんて疲れるもの、よくやる気になるね」
「祐樹くんの運動量を総計したら、充分疲れると思うけど」
「………各自で練習って言ってたけど、佐城さんは何をするの?」
「祐樹くんでも言葉に詰まることあるんだね。
私は体力向上のために走ろうと思ってるけど、
一緒にやる?」
「俺も人間だから、言葉に詰まることくらいあるよ。そうだね、走るのは嫌だけど本番で恥をかかないために練習するよ」
「了解。じゃあ、行こっか」
ニヤついた顔で歩き始める彼女を一瞥してから、俺は彼女の後ろについて歩き始めた。