君を忘れるその日まで。
本番
「3年生による1000メートル走もあと少し!
もうすぐ先頭走者がゴールします!
1番前を走っているのは、3組の佐城さん!
……いまっ、佐城さんが1位でゴールしました!」
放送部の実況と沢山の歓声が行き交うなか、流れる汗をそのままに佐城さんが笑顔でやってくる。
「お疲れ様。1位おめでとう」
タオルを手に取って「ありがとう」と返した彼女にペットボトルを渡すと、驚いた顔を向けられた。
「お代は請求しないから大丈夫だよ。
これは、佐城さんを見習って俺も少しは頑張ろうかなっていう意思表示」
笑顔で告げれば、彼女はクスッと笑ってペットボトルを受け取る。
「ありがとう。でも、祐樹くんがそれを言うの?」
「?どういう意味?」