君を忘れるその日まで。
「えー、みんなもう知ってると思うが、今日から一緒に勉強していく渡利だ。渡利、ひと言」
開けられた窓から入る潮風が教室を包むなか、担任の先生が笑顔で俺に挨拶をうながしてくる。
「渡利祐樹です。引っ越してきたばかりでまだわからないことだらけなので、いろいろ教えてほしいです。よろしく」
作った笑顔で告げると、総員30人ほどのクラスメートたちは大きな拍手で歓迎をしてくれた。
「なぁ、お前どっから来たんだ?」
「なんでこの島に転校してきたの?」
まぁ、こうなるか……。
春も終わりという中途半端な時期に転校してきた俺を不思議に思うのは当たり前で。
担任が教室を出ていくと、俺の周りにはあっという間に人だかりができた。