君を忘れるその日まで。
「そんな前からずっと想われてて気づかないなんて……佐城さんの鈍感さはもう病気なんじゃないかな。でもまぁ、それは君も同じか…」
「?なんだよ?」
右手を後ろに構えながら彼をチラリと見やると、彼は不思議そうな顔でクエスチョンマークを浮かべた。
「お互いに同じ気持ちでいながら、相手の気持ちに気づかない……今まで周りにバレなかったことに驚きだよ」
「は?何言ってんだよ?」
「いや?ただ、そろそろ勇気を出してもいいんじゃないのって話だよ。絶対に、結果は悪くなるはずがないから」
「は?だからなんの話か……」
隣でハテナを増やし続ける彼を横目に後ろを見れば、佐城さんがすぐそこまで近づいている。
「わからなくていいよ。じゃあ、俺は先に行くね」
「はっ?ちょ、お、おい!待てよ……!」
まだ走り出せない彼を置いたまま、俺は佐城さんから受け取ったバトンを持ち替えて先に走り出すのだった。