君を忘れるその日まで。
「おいっ、教えろ!」
自販機のボタンを押すと、ガチャンという音と共にペットボトルが落ちてくる。
ボトルを取り出してから後ろを振り返れば、眉間にシワを寄せた彼がそこに立っていた。
「そうだね。さすが野球部のエース、最後の最後に追い抜かれるとは思わなかったよ。
おかげでうちのクラスは総合優勝なし。
俺は恨まれるかもしれない」
でもまぁ、あのクラスのみんなはそんなこと思う人たちじゃないか……。
「そんなこと、どうでもいいんだよ!
もったいぶってないで早くお前と柑菜の関係を教えろ!」
「はいはい、言うよ。俺と佐城さんは友達」
「…………は?」
サラリと言ってのけると、彼は鳩が豆鉄砲を食らったような顔で静止した。