君を忘れるその日まで。
夏の思い出
『やっぱ夏といえば海だよね!』
そう言って誰かが真っ青な海を指さす。
『そうかな。夏といえばクーラーがついた快適な空間とそこで涼みながら食べるアイスでしょ』
ダルそうな声で俺がそう返すと、最初に聞こえた明るい声の誰かは、不満そうに口をとがらせた。
『こんな綺麗な海を目の前によくそんなことが言えるね。
無理やり予定をこぎつけたのはこっちだけど、少しは楽しそうな雰囲気を出してほしいものだよ』
『はいはい。楽しいですよー』
『棒読み!もー、本当に暑さに弱いんだから』
『俺の光熱に対するもろさをなめないで頂きたいね。
だから次に遊ぶときは、暑さをしのげる場所で遊ぼうよ。俺の家とかさ』
『え……っ』
『?なんで赤くなってるの?』
『な、なんでもないよっ────!』