君を忘れるその日まで。
「……くん、祐樹くん?」
「え……あ」
まだ太陽の光が強く輝くなか、顔を横に向ければ、夏休み前に良き友達になった彼女がそこにかがんでいた。
「佐城さん。どうしたの?」
俺は手に持っていたラムネのビンを傾けて、1度のどを潤す。
佐城さんは隣に腰かけると、持っていた俺と同じラムネのビンを軽く振ってみせた。
「祐樹くんが飲んでるの見たら、私も飲みたくなっちゃった」
「…ラムネって、なぜか夏になると無性に飲みたくなるんだよね」
「あはは、わかるそれ。振ると、中のビー玉がいい音出すよね。つい聴きたくなっちゃう」
「もしかしたら、中にビー玉が入ってるのは、
清涼感を強く感じさせるためのお店の戦略だったりするのかな」
「あはは、そうかも。涼しさを求めてラムネを買いに来るお客が、より増えそうな気がする」
「ラムネを開発した人は、心理学に詳しかったのかな」
「もしかしたら専攻してたのかもね」