君を忘れるその日まで。


「祐樹くんは、進路はどうするの?」


飲み終えたラムネのビンを置くと、佐城さんが柔らかな笑顔で尋ねてきた。


「卒業したら、前に住んでた所に戻るつもりだよ。大学も向こうで決めてあるしね」


元々この島に引っ越してきたのは、事故による記憶喪失で学校に通いづらいだろうという両親の配慮からだった。


でも大学なら知っている人はほとんどいないし、わざわざ記憶喪失だと話す必要もない。


離れて暮らしている父さんとも、卒業したら戻るという約束でここに越してきていた。

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