君を忘れるその日まで。
「───きくん、祐樹くん」
「え……あ、ごめん」
肩を叩かれてはっと意識を浮上させれば、佐城さんが心配そうな顔でこっちを覗き込んでいた。
教室には、いつの間にホームルームが終わっていたのか、俺たちしか残っていない。
「大丈夫?」
「うん。ごめん、寝ぼけてたのかな」
「祐樹くん、最近ボーッとしてること多くない?」
「……最近よく、夢みたいなものを見るんだ」
「夢?」
「うん……」
座ったままカバンに教科書を詰める佐城さんに、俺はこれまでを思い出すように話し始めた。