君を忘れるその日まで。
「へぇ……女の子との会話、ね」
佐城さんは俺の話を聞き終えると、興味深そうに頷いた。
「会話は思い出せるのに、彼女の顔は思い出せないんだ。だから夢なのかなって思って」
「うーん……でも夢って、もっと曖昧なものじゃないのかな?
起きたら何を見てたのか、何をしていたのか、全部思い出せなくなる。
覚えているのは、ただ自分が夢を見ていたっていうことだけ」
「確かに……じゃあ俺は夢を見てたわけじゃないのかな」
それなら俺が覚えてるこれは、なんなんだろう。
余計にわからなくなって考え込んでいると、
佐城さんがゆっくりと口を開いた。
「……もしかして、祐樹くんが忘れてる記憶なんじゃない?」