君を忘れるその日まで。
「これって……女子の字、だよね?」
ほどよく丸みを帯びた、綺麗で可愛い字。
確認のために佐城さんに聞くと、彼女はコクリと頷いた。
「最初はこの島の人からかなって思ったけど、
島の人なら自分の名前くらい書くはずだよね」
「え?……あ、本当だ。差出人の住所も名前も書かれてないね」
封筒を何度か反転させてみるけど、やっぱりそこには俺の名前と住所しか載っていない。
「これ、開けたの?」
「いや、差出人が誰かもわからないのに開けるなんて怖くてできないよ」
「え、チキンなの?」
「うるさいよ。自分あてに来てないからそんなことが言えるんだ。今度君あてに差出人不明の手紙を送ってあげるよ」
「先にネタバレされたら怖くないよ。
むしろ祐樹くんがどんなことを書いてくれるのか楽しみに待っちゃう」
「チッ」
「そんな大きな舌打ち、初めて聞いたよ」
「聞かせるためにやったんだよ」
「怖い人だね。とりあえずそれ、開けてみようよ」