君を忘れるその日まで。
佐城さんの言葉に、俺は封筒のマスキングテープを剥がして中から便箋を取り出した。
封筒と同じ淡いピンク色の便箋と、黒ペンで綴られた丸い文字。
「あ、これって私も読んでいいやつ?」
二つ折りにされた便箋を開こうとすれば、佐城さんが慌てたように口を挟む。
「大丈夫じゃない?
見られて困るようなことは書いてないだろうし、佐城さんだって気になってるでしょ?」
「うん。気になる」
「欲望に忠実なのは結構だけど、このこと、くれぐれも口外しないでね」
「わかってるよ。もし祐樹くんの知られたくないプライベートな部分が書かれてても、私は決して口外しないし笑わない」
「既にニヤけてる人の言葉ほど信じられないものはないよ」
「さあさあ、早く開けよう」
「はいはい」
オレンジ色の夕焼けが教室に差し込むなか、
俺はゆっくりと便箋を開いた。