君を忘れるその日まで。
『祐樹っ、鹿がいっぱいいるよ!鹿せんべいあげよう!』
『そうだね』
『反応が薄い!もっと感動とかはないの?』
『俺は中学の修学旅行で一度来てるから。感動はないかな』
『そうなんだ。私は中学は沖縄だったから、こんなに沢山の鹿を一気に見るのは初めてだよ』
『沖縄?中学生のくせに生意気だね。俺も、もっと贅沢な場所に行きたかったよ』
『くせにとか言わない!それに、中学の時とは違うんだから、もっと楽しまないと!』
『どう違うの?』
『私がいる』
『……それ、自分で言ってて恥ずかしくないの?』
『勢いで言ったからスルーしてほしかった。
でも本当に思ってるよ。一緒にいる人が違ったら、見える景色も違ってくる。私が祐樹といてそうだから、自信を持って言えるよ』
『……それはありがとう。ところで、手に持ってる鹿せんべいが着々と減っていってるけど、止めなくていいの?』
『え?……あぁー!だめだめっ、あげるから勝手に食べないでー!私の楽しみがなくなっちゃう!』
『あはは────』