君を忘れるその日まで。


『春日大社だって。綺麗な赤だねぇ』


『そうだね。ここは中学の時は来なかったから、初めて見たよ』


『おっ、それじゃあ祐樹も魅入ったんじゃない?』


『そうだね。さっき見た東大寺よりも気に入ったよ』


『……そこは普通、どっちも気に入った、じゃないの?』


『俺はどうやら普通ではないみたいだね。
それに俺は、どっちもなんて欲張りな男じゃないんだ』


『祐樹って、たまに理解できないこと言うよね』


『誰かに理解してもらおうとは思ってないから、気にしなくていいよ』


『祐樹は気にしなくても、私が気にするの!
思ってることは誰かと共有した方が楽しいものだよ?』


『確かに、一理あるね。じゃあこれからは、気が向いたら思ってることを口に出すよ』


『なんで気が向いたらなの!?
私みたいに、全部さらけ出してよ!』


『誰もが君みたいに全部さらけ出せるほど図太いと思ったら間違いだよ。君は内向的な人にもそんな風に迫るの?』


『そんなことしないけど……』


『じゃあ今後俺が思ったことを全部口にしなくても、君は何も言わないってことだね』


『祐樹は全然内向的じゃないでしょ!確かに表情はあんまり外に出ないかもしれないけど、性格は思いっきり外向的だよ!』


『そうかな?自分では性格も内向的だと思ってたんだけど』


『性格が内向的な人は、そんなにずけずけと
ものを言ったりしません────!』

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