君を忘れるその日まで。
「あの制服……」
視線の先にあったのは、彼らが身にまとっていた学校の制服。
どこか見覚えのあるそのブレザーは、おそらく高校のものだろう。
「俺はどこで見たんだろう……っ、!」
記憶の抜け落ちている頭を回転させようとすれば、酷い痛みが頭を殴る。
なんだこれ……っ、…!
こんな痛み、今までなかった……。
「急になんで……、」
その時だった。
「きゃっ…!!」
小さな叫び声を上げたのは、あのブレザーに包まれた1人の女子。
緩やかな坂に足を取られたのだろう。
つまづいたその子が、前に倒れていく。
「あぶない…っ!」
その手を掴んだのは、同じグループにいた1人の男子。
間一髪で助けられた彼女は、その場で安堵の息をこぼした。
「ったく、お前どんくさいんだから気をつけろよな」
「なっ!どんくさいは余計だよ!
……でも、ありがとう。助けてくれて」
「おー。早く行くぞ」
「うん!」
「………………」
そのほんの少しの出来事が、まるでスローモーションのように視界に流れ込んでいた。
「今の……」
経っていく時間とともにクリアになる頭の中で、落ちていたはずの断片が脳裏をよぎる。