君を忘れるその日まで。
本当の記憶
「ごめんね、一緒に待ってもらっちゃって」
「帰っても暇なだけだったし、誘ってくれてよかったよ」
奈良・京都の旅から数日。
佐城さんと2人きりの放課後の教室で、くすくすと笑い合う声が響く。
「ありがと。ほんと、祐樹くんは優しいよねー」
「凪は優しくないの?」
頬杖をついて聞くと、佐城さんは上を仰ぎながらクスッと微笑を浮かべた。
「優しいよ。まぁ、ほとんど優しさが空回りしてる感じだけど」
「……佐城さんって、実は凪のことかなり好きだよね」
「えっ!?」
思ったことをそのまま口に出すと、彼女は真っ赤になった顔をこっちに向けてくる。