君を忘れるその日まで。
「この横断幕作りも、だいぶ完成に近づいてきたよね」
満足そうな笑顔で目の前の横断幕に色をつけていく彼女に、俺も微笑を浮かべながら言葉を返す。
「俺はお世辞にも絵が上手いとは言えないから、下書きをやってくれて感謝してるよ」
「どういたしまして。
でも、渡利くんの絵のセンスにはびっくりさせられたな。
まさかあれほどまでとは……」
横断幕作り初日のことを思い出すように天を仰ぐ彼女に、俺はすかさず言葉を挟む。
「言っておくけど。最初に忠告した俺の言葉を無視して書かせたのは君だからね。
今後それ、誰かに口外しないで」
「あははっ、了解です」