君を忘れるその日まで。


「そうだよ、凪。教室のドアは公共物なんだから、壊したら弁償なんじゃない?」


心配そうにこっちを見ていた佐城さんも、安心したような様子を見せると、凪に素っ気ない態度で返した。


「えっ!?ま、まじか……ごめん、ドア」


後ろを振り返ってドアに謝る天然な凪に、俺たちは思わず吹き出してしまう。


「笑うな!てか、それよりっ!なんで祐樹と一緒にいたんだよっ?」


「なんでって、凪が先生に呼び出されるのが悪いんでしょ。
一緒に帰る約束してたのに待たせるから、優しい祐樹くんが付き合ってくれてたんだよ」


「優しいを強調すんなっ!
待たせたのは悪かったけど、なんで祐樹なんだよ!」


「え、なに?他の男子ならよかったってこと?」


「違うわ!女子と待ってればいーだろってことだよ!」


「残念。私の知ってる女子はみんな部活中だよ」


「ぐっ……」


「あはは」


他愛のないやり取りを交わす2人を目の前に、
俺は思わず1人で笑ってしまう。

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