溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 二人はランドマークタワーに到着し、中に入って店々を見回った。

「これ、可愛い」

 カーゴの中にいろんな動物のクッションが入れられている。その中にペンギンのものがあった。手触りがいいのできっと抱き心地もいいのだろう。

「買う?」

「いいえ、まだ見始めたばかりだから」

「そう? 椿の好きなだけ買ったらいいよ」

 椿は思わず、はい、と言いそうなって動きを止めた。今まで食事もなにも全部真壁が支払ってくれたが、今日のショッピングもそのつもりなのだろうか、と。

(でも、わたしが払うなら、連れてこないよね?)

 本当にこれでいいのだろうか?

 急に不安になってきた。ここまで真壁にしてもらう理由がない。この半端ではない待遇にはなにかあるのではないか。

「椿、どうかした?」

「あ・・いえ、なんでも。あの」

「ん?」

 わずかに首を傾げる様子を見つめながら迷う。聞いてもいいのか、やめておいたほうがいいのか。

「・・やっぱり、聞いてもいいですか?」

「なに?」

「どうしてこんなにしてくださるんですか? わたしはただの会社の部下のはずです」

 迷っていたはずなのに言葉が口を突いて出てしまった。まずったかな、と思った時にはもう遅い。一度逸らした視線を元に戻して真壁を見上げると、考え込んだように顔を背けている。が、真壁もまたすぐに視線を椿も戻した。

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