溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 するとまたスマートフォンが振動した。

『もししごとがたいへんだったら、いつでもわたしが、たくみにいってあげるからね! ちょくせつだといいにくいだろうから。わたし、こっちにきて、かんこうするいがい、することないんで、いつでもぐちきくから!』

 最後は動く絵文字がついている。それを見てまたしても涙が溢れた。

「ごめんなさい」

 出てきた言葉は謝罪だった。

「う・・うぅ・・」

 声に出して泣けば真壁に聞こえて心配をかけるだろう。そうなればマリのことを聞いてしまうかもしれない。

 さらに椿を案じるばかりに、マリをどうとも思っていない、むしろ慕われて困っている、などと否定されても辛いと思った。

(わたし、どうしたら・・)

 こんなことになるなんて。

 こんなことになるなら同棲なんて断って、板橋のワンルームマンションにいればよかった、と思う。解約日まではまだ時間があるが、解約自体はすでに終わっているので戻ることはできない。

(楓さんのところに戻る?)

 だが、それとて年末までの話だ。新年から叔母は交際相手と結婚して新生活をスタートさせるのだから。

 そう思うと、急に叔母が恋しくなってきた。しかも、猛烈に。

(そうだ。こっちに越したこと、許しくれたって聞いているのに、わたしってばぜんぜんそのことで楓さんと話をしてなかった)

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