溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「ひとこと言えばいいことなのに、思い出せって言って教えなかったのでしょう? 本当に意地悪なんだから。でも、きっとあの子も不安だったんだと思うの」
「不安? 匠さんが?」
「〝あしながおばさん〟の息子だから受け入れる、恩人の息子なら仕方がない、そんなふうに思われたらどうしようって。そんなことないのにねぇ」
「ないです!」
ゆりこは、うんうん、とうなずき、椿の手を取った。
「情けない話だけど、中学だったか高校だったか、女の子たちのおしゃべりを偶然立ち聞きしてしまったそうでね。真壁くんの家はお金持ちでお祖父さんが社長でお父さんが副社長、いずれ本人も社長になるだろうから、つきあったら将来社長夫人よ、みたいなことを言われていたらしくね。それが意外とじわじわショックがきたみたいで、女性関係には気をつけていたみたい。でも、結局、自分の本質ではないところで選ばれるのがイヤだったんでしょうね」
その時、部屋の奥から真壁の声が響いた。
「ケーキ食べないのか? もう用意できてるよ」
と。それを聞いて椿と百合子は顔を見合わせて笑った。
「行きましょうか」
「はいっ」
***
「不安? 匠さんが?」
「〝あしながおばさん〟の息子だから受け入れる、恩人の息子なら仕方がない、そんなふうに思われたらどうしようって。そんなことないのにねぇ」
「ないです!」
ゆりこは、うんうん、とうなずき、椿の手を取った。
「情けない話だけど、中学だったか高校だったか、女の子たちのおしゃべりを偶然立ち聞きしてしまったそうでね。真壁くんの家はお金持ちでお祖父さんが社長でお父さんが副社長、いずれ本人も社長になるだろうから、つきあったら将来社長夫人よ、みたいなことを言われていたらしくね。それが意外とじわじわショックがきたみたいで、女性関係には気をつけていたみたい。でも、結局、自分の本質ではないところで選ばれるのがイヤだったんでしょうね」
その時、部屋の奥から真壁の声が響いた。
「ケーキ食べないのか? もう用意できてるよ」
と。それを聞いて椿と百合子は顔を見合わせて笑った。
「行きましょうか」
「はいっ」
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