溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 真壁の実家ではお茶をしながらのんびり過ごし、夜は近くのハイソなフレンチレストランでディナーとなった。そこには真壁の父の喜一郎も同席し、四人で団らんとなった。

 椿にとっては、喜一郎はホールディングスのトップで子会社の平社員からしたら雲の上の存在だ。緊張したが、それは最初だけで、本人はとても気さくな男だった。

 十四年前のこと、椿の母が亡くなったことを退院してから知って動揺し、なんとかしたいと思った百合子を後押ししたのが喜一郎であったこと、それらを懐かしげに語ってくれた。

 そして百合子は早産によって体を痛め、子どもを望めなくなったこと、なにより生まれたのに息をしていない我が子に心を病みかけていたところへ椿と出会い、健康を取り戻したこと、それらを教えられ、また感謝された。

 椿の愛らしい笑顔が百合子を支えたのだ。その椿が、近い将来、嫁として家族の一員になることに二人は本心から感激している様子だった。

 帰り際、たくさんのお土産を持たされて帰路につくことになった。車なので荷物にはならないが、今日のために百合子が買い込んだ様子で、椿は恐縮しきり、真壁には苦笑ものだった。

 クッキー、チョコレートの詰め合わせ、バームクーヘン、果物や缶詰、乾物ものもある。それ以外にも蕎麦やうどんなども。

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