溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
「甘いものばかりこんなに食べられない~」

「そうか?」

「そうよ。太っちゃう!」

「椿はもっと太ったほうがいいよ」

「そんなことない!」

「僕はけっこうぽっちゃり好きだけどねぇ。言わなかったっけ?」

「言われた気がするけどダメ。服から靴から、全部買い直さないといけないから絶対にダメ!」

 真壁はご機嫌そうに笑っている。

「笑って誤魔化そうとしてるでしょ。あ、そうだ。これ楓さんにお裾分けしようかな」

「それはいいかもね」

「あ、しまった! 楓さんに匠さんのことまだ言ってない!」

「じゃあ電話しておいで。僕はこれを片付けてから風呂に入るから」

「はいっ」

 椿はカバンからスマートフォンを取り出して、さっそく叔母の電話番号をフリックした。

「あ、楓さん!」

『あら、ずいぶんと声が弾んでいるわね。なにかいいことあった?』

「あったの!」

 言いつつ、チェストの上に視線を向ける。

「思い出したの。匠さんのこと」

 今度は片付けをしている真壁に視線を移す。

「〝あしながおばさん〟の息子さんで、シンデレラのガラスの靴を買ってきてくれたんだって」

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