溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 ずっと? それは、どういう意味?

 聞きたくても喉が閊えて声が出ない。

 ずっと傍にいてくれるということ?

 ずっと傍に置いてくれるということ?

 ドキドキが止まらず、椿は膝の上の手を握りしめた。

「でも、もし必要だと思ったら教習所に通うといいよ」

「・・お金が貯まったら考えます」

「経費で落とすからいいって」

「ええっ! それはダメです!」

「そんなことないって。椿は僕の秘書だ。運転が必要な時だって出てくるかもしれない。あ、もしかして公私混同していると誤解してる? 免許を持っていない者が入社した場合で、営業なんかに配属されたら社費で取らせることなんてよくある話だ。あるいは遠方に転勤になって、車がないと話にならないケースとかね」

「そうなんですか?」

「ああ。そんなのウチに限ったことじゃなく、一般的なことだ」

 車は湾岸線を快適に走行し、間もなく横浜に到着した。車を駐車場に止めて外に出ると、若干冷たさのある風が揺れに疲れた体を爽やかに包み込んだ。

「椿」

「はい」

 呼ばれて真壁のほうに進むと、彼が手を差し伸べている。

(手、つなぐの?)

 それでは本当に恋人か夫婦みたいだ。

 ためらっている椿に真壁は少し寂しそうに問いかけてきた。

「手をつなぐのはイヤかな?」

 聞かれてふるふるとかぶりを振る。イヤどころかうれしくて泣いてしまいそうだ。

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