ウソツキチョコレート






月曜日。

「わー、美亜っち復活! やっと来た」
 
重い足を無理やり引きずりながら学校に着くと、アサちゃんが抱きついてきた。

「ちょっとやつれた? 大丈夫?」
 
ノンちゃんも心配そうに私の顔を覗く。

「大変だったね。病みあがりだから無理しないでね、美亜」
 
ナナちゃんも優しい言葉をかけてくれた。

「ありがとう。もう大丈夫だよ」
 
でも、そう言った私の笑顔は引きつっていたと思う。

この三人には伝わっていないみたいだけれど、大橋くんの友達が私の噂を流しているかもしれないという恐怖がぬぐえない。
いつもどおりの授業、移動教室、休み時間、昼食時間を過ごしながらも、一日中心休まることはなかった。
 
私を見るみんなの目の色が、いつもとちがうように感じる。
廊下で話している数人組が、私のことを話しているように感じる。
“かわいそう”や“キモイ”っていう言葉が、すべて自分に向けられたもののように感じる。

目や耳をふさいでしまいたいほど常にビクビクして、大勢の中を歩かないといけない時には、足がすくむほどだった。
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