コガレル(番外編)~弥生ホリック~


 頭を下げるしかなかった。
 ただ浮かれて、圭さんの事情を今の今まで考えてもなかった。
 今さら後悔しても遅いけど、せめてドラマの撮影期間が過ぎるまで待てば良かった。

「先月、彼からあなたに書留を出すように頼まれたの、私。それで去年、熊本で無謀な仕事をした理由が分かった」

 くまたんに載せてしまったことだ。
 それも何か…?
 頭を上げてマネージャーさんを見つめた。

「圭君、あのせいで仕事ができなくなる寸前だった」

「そんな…」

 圭さんの事務所から編集長に、非公認の掲載についての問い合わせがあったことは聞いてた。
 でも、それしか聞いてない。
 冬休みに会った時には圭さん、その話は一言もしなかった…

「彼を振り回すのは止めて。鍵は渡さない。タレントを守るのも私の仕事だから。
それに、合鍵って本来いくつもいらないものでしょ?」

「どういう意味ですか?」

「修羅場って嫌じゃない?私も持ってるもの、あの部屋の合鍵」

 マネージャーさんは今はもう隠そうともしないで、冷ややかな笑みを浮かべた。

「あなたの身代わりって分かってるけど、いいの彼が好きだから。優しくしてくれるし」

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