忘れて、思い出して、知る
「真瀬さん、大丈夫ですかね……」
栞はふらつく遥の背中を見つめることしか出来なかった。
「まあ、そろそろ限界が来てもおかしくないけどさ。あそこまでやる気を出されたら、ねえ……」
みんな遥に倒れてもらいたくないという思いがありながらも、止めても無駄だから止められない状態だった。
正直、栞たちには捜査する手段がほとんど残っていなかった。
だから、遥がいない今、栞たちにやることなどなかった。手持ちぶさたとなった三人は雑談を始めた。
三十分くらい経ったころ、遥が勢いよく部屋に入ってきた。
あまり体力がないのか、息切れをしている。
「津川麻友が、話した……寺崎大地をかばっていると」
遥の言葉を聞いて三人は立ち上がった。
詳しく遥の話を聞こうとすると、遥はその場で倒れた。
原因は言うまでもなく、疲労だ。