忘れて、思い出して、知る


遥が目を覚ましたのは翌日の朝だった。



遥は少し頭を押さえながら体を起こした。



「あ、真瀬さん、おはようございます。昨日大変だったんですからね。もう、人の言うことは聞いてくださいよ」



遥が目を覚ましたことに気付いた栞が、声をかける。


栞の手には何枚か束ねた資料が握られている。



「それ……」


「これですか? これは真瀬さんが津川麻友の取り調べをしたときにまとめたものです。同席していた人が今朝持ってきてくれて、今読み終えましたよ」



栞は資料を閉じ、一息つく。



「それにしても、どうして津川麻友は急に話し始めたんでしょうか」


「寺崎大地に振り向いてもらえないってわかったからだろ。津川麻友は寺崎大地に惚れてたみたいだから。ところで、妃さんたちは?」



遥は部屋中を見渡しながら言った。



「妃さんと火神さんは、寺崎大地の逮捕に向かってます。ちなみに私は真瀬さんの見張り役です」



栞はそう言いながら、手に持っていた資料を遥に渡す。

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