忘れて、思い出して、知る
「もう全部話すよ。さ、刑事さんも座って。ここまで来て嘘はつかねーから。めんどくせーし」
遥は多少警戒したが、本当になにもしそうになかったため、椅子を置きなおして大地の真正面に座った。
「俺がしたことは詐欺、薬物販売、社員への暴力、家庭内暴力、そして殺人。まあ殺したのは松山百合子だけ。苺とか残り三人は松山が殺した」
刑務所に入るには十分すぎる罪の数だ。
だが、あらかじめ知っていた遥は、あまり驚いていなかった。
「その三人は俺の会社を潰そうとか言ってネットで知り合って証拠集めしてたみたいだけど、全部情報は俺に筒抜け。松山はスパイで、逐一報告させてたからな」
まさかの事実に、これには遥でも驚いた。
そこまでして自分の会社を守ろうとしていたのだと、なんとも言えない気持ちになる。
「それで、証拠がそろい、次の日に警察に届けると言い始めたら、松山に殺すように指示していた。そしたらあいつちゃんと俺の指示通りに動いてくれたよ」
大地は気味の悪い笑みを浮かべる。
遥は絶望に近い感情を抱いた。
「当然、松山も生かしとくわけねーから、殺した。あとは死体を全然関係ない四か所に放置。ついでに、俺の会社の裏情報が警察にばれたら元も子もねーから、携帯とかパソコンは全部盗んで、壊した」
明かされた真実に、遥は頭が回らなくなる。