忘れて、思い出して、知る


「もちろん始める。岡本、被害者の写真と名前をホワイトボードに書いていけ」



栞は遥に指示された通りに、ホワイトボードを用意し、次々と書いていく。



「今回、俺たちがルールを破ってまで参加した捜査会議は岸本梨央殺人事件。この事件については説明しない。あのときに聞いた以外にめぼしい情報はなかった」



遥は栞が写真を貼るのに合わせて、話していく。



律と宙はホワイトボードが見える位置に座る。



「あと四つの事件だが、すべて殺人事件だ。殺されたのは寺崎苺、手越小毬、松山百合子。一課がこの四人の関係性を見いだせなかったのも無理ない。なんせ、この四人の関係性は全く見当たらないし、殺害方法もすべて違う」



そう言い終わるくらいに、被害者全員の写真、名前、死因がホワイトボードに書かれた。



栞はもう少し詳しい情報を書き足していく。



「だが、共通点が一つだけあった。被害者の携帯、パソコンが盗まれていた。俺は、携帯やパソコンに、なにか彼女たちの関係を匂わせるデータがあったと考えた。なにより、同時に四つ殺人事件が起きたのなら、関係あると思うが」



すると、遥がすらすらと話すのを、律が止めた。



「ストップ。二人は資料に目を通してるから、そうやって話してもいいかもしれないけど、資料を見てない私たちは全然ついてけない」



話を止められた遥は、不服そうに二人を見る。

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