忘れて、思い出して、知る
「優秀だろ、これくらいついて来いよ」
普段の遥ではありえない挑発の仕方だった。
三人は、この事件に興味を持ったな、と心の声を揃える。
「無茶言うなよ。俺らお前ほど優秀じゃねーから」
宙の言葉に、律はうなずく。
すると、すべてを書き終えた栞がペンのキャップを閉じ、何枚か重なった紙を二人に渡した。
「時間なくてそこまで詳しいことは書いてないですけど、要点だけまとめてみました」
それを受け取ると、二人はすぐに目を通した。
「おお、さすが岡本。よくまとめてある。いい、真瀬。こういうのをしてほしかったの」
律に言われて、遥は舌打ちをした。
「説明を続けるぞ」
そして遥は、栞に座るように指示した。
「調べたいことは山ほどあるが、まずは彼女たち周辺の関係を捜査する。妃さんは手越小毬、岡本は寺崎苺、火神さんは松山百合子。岸本梨央は俺が調べる」
割り当ての指示に、全員首を縦に振る。
「聞き込みは二人で組んでやるから、とりあえず今はやらなくていい。欲しいのは、一課が集めてきた以上の情報だ」
「了解」