忘れて、思い出して、知る
その一言で四人から笑顔が消え、黙り込んだ。
そして遥は重たい口を開く。
「まだ捜査を開始して二日目だから、そこまで進んでないから、なんとも言えないんですけど、パッと見たところ難しいです」
「そうか……進んだとこまででいいから、俺にも教えてくれ」
遥は一口、コーヒーを飲んで話し始める。
「殺されたのは女性四人。四人の殺害時刻は被っているけど共通点がないことから、一課は四つの捜査本部を設立」
「四人か……同時に、別の場所で起きたのなら、連続殺人とは考えにくくないか?」
隼人の指摘に、遥以外が頷く。
「でも一通り資料に目を通すと、これといった根拠はないけど、この事件はつながっていると思った」
「お前がそう思ったなら、そうなんだろうな」
八課のエース、遥が自信を持って言うからか、隼人は遥の曖昧な理由に納得した。
「それで、今は家族構成や友人関係について調べただけです。これから聞き込みに向かおうと思ってます。それで、警視長に一つ聞きたいことが」
「ん、なんだ?」
「寺崎苺には花村桃という妹がいるんですけど」
その名前を聞いた瞬間、クッキーに手を伸ばしていた隼人の手が止まった。
「やっぱりなにか知ってるんですね」