忘れて、思い出して、知る


「私を巻き込まないで。てか、真瀬の言ってること正しいし。私、真瀬や岡本、警視長のこと尊敬してるし。まあ警視長は年下じゃないけど。つまり、年なんて関係ないでしょ」



いつものことではあるが、律にも味方してもらえず、宙は部屋の隅で丸まっていた。



そんな宙をほったらかして、遥と律は捜査を開始する。



「殺されたのは花村彰と杏奈。二人とも刺殺だ。彰が先に刺され、そのナイフで杏奈が刺されている。子供は苺と桃」



遥は簡潔に、覚えた情報を話す。


律は資料を読みながら聞いているから、詳しい情報は求めなかった。



「俺として不思議なのが、桃が殺されなかったこと」



律は資料を読み終え、遥の話に耳を傾ける。



「警視長の話によると、桃は殺害現場を目撃して、それで倒れた。でもおかしくないか。この現場が目撃できるとこにいて、犯人に気付かれなかったってのは」


「確かに。子供を殺すのはためらいがあったのかな」



二人は顎というより、下唇に手を当てて考えている。



「いや、それはない。殺人犯としては目撃者はいないほうがいいだろうし」



二人は頭を抱える。

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