忘れて、思い出して、知る
また、八課の部屋は日当たりが悪く、人目につきにくい。
そしてなにより、過去の未解決事件の資料をすべて置いておくには狭すぎる。
「いつか一課の部屋を奪ってやる」
捜査本部に向かう途中にそう豪語するのは、妃律。
八課が設立された二十年前から八課にいる。
茶髪のショートヘア、健康的な肌色。
格好はパーカーにジーンズと、随分ラフな格好だ。
彼女はどこか男らしく、素直で、思っていることをすぐに口にする。
「なに言ってるんすか、律さん。今の部屋で十分じゃないでしょ。なあ、遥」
律の目標にツッコミを入れるのは、火神宙。
律の二年後輩だ。
八課では兄的存在。
であるにも関わらず、少々女遊びがすぎる。
ありとあらゆる女性に声をかけてはデートの繰り返しで、現在彼女が片手で数えられないくらいいるとか、いないとか。
「俺は捜査ができるなら、どこでもいい」
体が大きい割に、声が小さいのは真瀬遥。
八課のエースだ。