忘れて、思い出して、知る
「わかりました。よろしくお願いします、サヤさん」
栞は深々と頭を下げた。
沙也加の表情は曇っていたが、優しく栞の頭を撫で、よろしくと返した。
「それじゃ、捜査会議を始める」
遥の一言で、部屋の空気が一変する。
遥はいつもの定位置に立った。
栞に律、宙、隼人、沙也加はソファに座る。
「できるなら前回の続きで捜査を再開したいんだが……警視長たちはついてこれますよね?」
沙也加以外の四人は首を縦に振った。
それを見た遥は、流れ目のように沙也加のほうを見る。
「私なら大丈夫。事件の資料に目を通せばそれなりにわかるし。それに、まだそこまで進んでないんでしょ? だったらすぐに追いつける」
なんとも強力な助っ人が来たと、八課全員微笑んだ。
「じゃあ俺と警視長、火神さんと妃さん、岡本とサヤさん。このペアで被害者四人がどんな人物だったか聞き込みしてくれ。役割はこの前調べた人をそのまま調べろ。それと、今日中に聞き込みできない人には聞かなくていい。とりあえず解散」
「了解」