忘れて、思い出して、知る
事件解決
午後二時、八課に全員が戻ってきた。
「それぞれ報告だ。まず……」
遥の言葉を遮るように、栞と沙也加が手を挙げた。
「真瀬さん、私たちのを一番に聞いてください」
「これが一番有力な情報だと思うよ」
沙也加はそう言いながら、姫野学園で預かってきたSDカードを見せた。
それを栞のノートパソコンに取り込み、ページを開いた。
「ただね、有力なのに間違いはないんだけど、パスワードがわからなくて」
「さっきからいろいろ試してはいるんですけど、なかなか開かなくて……」
栞はパソコン画面と向き合うが、その手が止まっていた。
「ヒントとかないのか。そもそもそのSDカード、どこで手に入れた」
栞が懸命に考えているため、遥の質問には沙也加が答える。
「これは寺崎苺が預けられてた姫野学園ってとこでもらったもの。これが証拠ね」
沙也加はそう言って、SDカードと一緒に入っていた手紙を渡した。
「ヒントというヒントはなさそうなの。ハル君、なにか思いつかない?」