忘れて、思い出して、知る
「だったら本当の誕生日を調べたらいいじゃん」
そう言って、律は自分のデスクに向かって調べ始めた。
「ねえねえ、俺はなにしたらいい?」
「火神、お前は無条件で飲み物係だ。全員分のお茶を用意しろ」
いつもならここで文句を並べる宙だが、みんながみんな真剣に取り組んでいるため、黙って隼人に従った。
「沙羅って子の誕生日、わかったよ。七月十六日」
律の言葉を聞いて、栞はすぐにその数字を打ち込んだ。
「開けた……」
ただファイルが開けただけであるが、全員喜んだ。
遥の反応は相変わらず薄かったが。
「なにこれ……」
「信じらんない……」
誰よりも先に中身を見た栞と沙也加は、言葉を失った。
大切なデータが入っているということはなんとなく予想していたが、ここまで残酷なものだとまでは思っていなかったのだ。